形を変えて拡縮を繰り返す海運ネットワーク 「日本郵船歴史博物館」

Dsc06635_edited1  企業博物館としてけっこう有名だと思います。前から知ってはいました。

ただ知っているだけではなかなか足が向かないもので、きっかけがつかめずにいましたが、近辺を散歩する機会があったので立ち寄ることができました。

夏のこの時期、太平洋戦争とその終戦を思い出しますが、ここを紹介していた本の中で日本郵船の民間船員が多数戦場でお亡くなりになったという話が心に残っていたこともあります。

なかなかかっちり隙のない博物館です。明治初期の会社の立ち上げから現在にあたるまで時代を区切ってそれぞれの時代のトピックスを説明するというオーソドックスな構成ですが、コーナーごとにコンテンツがつまっています。
各コーナーの床の円盤を踏むと順番に2つの画面で説明が始まり、合計で5~8分ほどビデオを見ているとその時代の基本事項がわかります。興味の濃淡がついたあとに展示品を眺めていくと目が留まる場所が決まっていきます。
(ただし、ビデオは飽きない内容なのですが、混雑しているわけではないので椅子があったらと思いました。かなり歩き回ってからこの博物館に入ったから足がすこし疲れていたようです。)

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明治の時代、日本国内から世界への航路の拡大と日露戦争。その後の華やかな客船の歴史。

それが、太平洋戦争とともに軍事目的に一斉に切り替わり、そして2百隻近くが太平洋各地に沈んでいった歴史。

戦後、船も積荷も様変わりしながら苦労て再度世界に挑戦し、ビジネスを成功させた歴史。

 

1つの会社の栄枯盛衰に、日本の歴史が凝縮転写されているようでした。

 

一転、企画展は「ミナトに響いたJazzと汽笛」。Jazzには関心が薄かったので、このチラシ、ポスターを見ただけでは来館しなかったとおもいますが、常設展を見た後に足を踏み入れると予想外の味わいがありました。
客船上のサービスとしての演奏がもとめられ、それが音楽家を呼び、彼らがアメリカ文化に直接触れる機会を得、それが日本のJazz輸入(?)につながっていったという話は、経済や社会の仕組みと文化とが相互に予想外の成長を促していく例として感銘をうけました。