「博物館の学びをつくりだす」 最初に9章を読むと全体がわかりやすいと思います

前書きのあと、編者が担当した9章へ。

ここで、学校教育と博物館での学びの対比、「構成主義」・「反表象主義」といったキーワードを使っての博物館での学びの意味の考察がされます。この章が大変参考になりました。

特定の博物館での取り組みがケースとして記述されている書籍の例はいろいろあると思います。「何をどうしたか」という館側の視点で思い入れのある取り組みの説明をしたあとに、「参加者はきっとなにかをつかんだに違いない」といった特に証拠を示さないのに断定的な結びで終わるような事例紹介です。

もし、9章を読まずに頭から読み始めたら同じような印象をうけてしまったかもしれませんが、各章の結びには短いながらも9章につながるようなまとめがされており、本全体としての立体感がよくでていると思いました。登場する博物館も、館種・地域の幅があり、作者である研究会の研究の視野が博物館群を見渡しているように感じられました。