団体学習に特化した場合の可能性は・・ 千葉市科学館

DSC01718  開催中の企画展「時間旅行展」の展示は、科学技術にしては科学的なリアリティや厳密さにこだわっていないのが気になり、現代美術にしては科学ネタの制約にとらわれすぎているようなまだるっこしさが残り、私の感性をあまり刺激してくれませんでした。科学技術と現代美術のどちらなのか判然としない展示を見ながら、なにかしら日本科学未来館の展示に似ているなと思ったらまさにその巡回展でした。未来館の展示では、いろいろ自分で考えを巡らせる体験をしたことがあり、展示方法自体はそれと似ているので先進的なものなのでしょう。今回はすこし没入できませんでした。

  
  


 常設の展示を見て回ると、就学前らしき子供とお母さん等が各所でひとつの展示・装置をしっかり体験しており、こちらは問題がないようです。企画展は少しテーマが高度なのかもしれません。直感的に遊べるものではないように思います。子供向けの企画ではないのかもしれませんが、大人だったら現代美術館と比較して評価したくなりそうです。
  
 未来館との最大の差は立地でしょうか。ここは市の中心部にあり、他の施設もはいった複合的なビルの中にあります。子供だけでも気軽にやってこれる場所です。車なしでアクセスできる居住人口も多いでしょう。一方、未来館は、団体でバスでくるなら問題はありませんが、低学年の子供が子供だけでくるのは少し難がある場所にあります。この点での条件は、ここの方がいいわけDSC01717です。複合ビルのエントランスホールには学校帰りの子供たちがたくさんいましたが、上層階の科学館に上がってくる子供は思いのほか多くはありません。博物館法上の基本どおりにもし無料だったら何かしら違う状況になるのでしょうか。無料開放日というのが設定されてるのでその日に観察して比較すればわかるかもしれません。
 団体プログラムを使って学校等が団体で訪問する場合の子供たちの反応を未来館で見たときには高い可能性を感じました。しかし、個人が自主的に訪問することも共存させるのは難しいのかもしれません。団体に特化するという戦略をとった場合は、何かを捨てることでもっと効果を出せるかもしてません。(開館時間、受付やボランティアの体制、等)

 さて、チケットの購入時に気づいたことをもう一つ。種類の違う博物館の連携について少し考えました。
 2009年から、千葉市が運営している3つの博物館(千葉市美術館・千葉市科学館・千葉市立郷土博物館)チケットの相互割引という制度ができたようです。しかし、この制度についてのウェブ上での記述は3館ばらばらです。郷土館、美術館は「ご利用案内」のページに記述がありますが、美術館では小さな字の[NEWS]の表示なので継続的かどうかはわかりません。科学館では「お知らせ」の1記事でしかなく、トップページからは想像がつかない過去のページです。
 郷土館訪問のあとに科学館に向かい割引方法を聞いたところ受付の人は始めての体験だったようです。企画展もセットになったチケットを薦められ支払う段になってそれは割引ができないと説明されました。(大人の場合の割引額は、常設展示500円の20%で100円)しかし、後になって別々に購入すれば割引になることがわかりました。せっかく割引制度があっても、科学館はあまり積極的ではないようです。3館で客層が違うからかも知れませんが、科学館の客層である子供にとっては大きいのではないかと思いますが・・・私は子供でないのでケアの対象外だったかもしれません。(注意:小中学生の場合の割引額は、常設展示100円の20%で20円だと思われます)

 

◆博物館心-ミュージアムマインド-  千葉市科学館