文学的表現が夢を育みその実証で科学が発展する  万里の長城(中国・北京近郊)

名称未設定-2  「万里の長城は宇宙から肉眼で見える唯一の建造物」という仮説は、2003年の中国初の有人宇宙船「神舟5号」の楊利偉飛行士が「万里の長城は見えなかった」と証言したことで否定されることになりました。中国では教科書にも載っていたものが削除されたそうです。この経緯は科学的プロセスでしょうが、最初の仮説を私も疑問は感じつつも盲目的に信じていました。そして、自分が宇宙飛行士になったら一応確かめて見よう、と思う事柄のひとつになっていました。楊飛行士も子供の時に教科書で勉強したことがほうとうかどうか自分の目で確かめたいと思ったのかもしれません。
   
 確かに、冷静に考えれば、この幅と色では識別は難しいですね。これが識別可能なのであれば、鉄道網や高速道路網も見えないはずはありません。有人宇宙船が打ち上げられた歴史の発端は、この”仮説”の真偽を確かめるためではなかったと思いますが、それでも宇宙開発というのは何らかの夢を追ってなされてきたものだと思います。

DSC01881a  一方、今回、6/17に読売新聞で”中国の秦や明など各時代に造られた「万里の長城」を合計した全体の長さが2万1000キロ・メートルを超えていることが、中国の国家文物局の調査でわかった。中国の「1里」は現在500メートルで、2万1000キロ・メートルは4万2000里。万里をはるかに上回る長さとなる。”とニュースで伝えられたので、命名者の意図はともかく事実として”万里”は誇張ではなかったことになります。
  
 文学的表現と科学の発展は相互に刺激し合うものなのかもしれません。

(2010/5/1 見学、2011/6/20 執筆)