もともとその存在が何か浮世離れしているせいか、ミニ出島に植えられた実物の松はサイズはアンバランスなのになぜか違和感を感じません。島の形も夢想が妄想をよびさまします。これは史跡内の屋外の一角のミニチュアです。実物大で復元中の建物群と見比べてみると、当時の立体感を頭の中で再構成する助けになります。
この、日本で最初で最後の国際対応ゲーテッドコミュニティの不動産の金額を、今のお金に換算すると、建設費が4億円で、島全体の年間賃借料が1億円だったということなので、現在の水準に比べて格安の賃料でありながら4年で建設費を回収できるという優等生の不動産だったのかなと思います。この上で動いた商業の収益を考えたらポルトガル・オランダにとっては格安の賃料設定だったでしょう。ただ、この島を日本から隔離するための役人等の人件費をいれた”共益費”までいれたら計算は変わるかもしれません。
建物群は3期にわけて復元中なのでいずれフルセットで湾曲した街並みも再現されることになります。今では、出島跡の周りも埋めたてられ市街地と化し、内陸の一区画となっていますが、可能ならミニチュアを参考にせずともその立体感が感じられるように、当初の形を再現して周囲を彫りぬいてもらいたいところです。
なお、観光のための施設ではありますが、オリジナルの石垣など発掘されたものや、当時の道具のコレクション等の展示もあります。
(2010/9/6 鑑賞、2011/7/24 執筆)
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