こってりと積もった火山灰(関東ローム層)は日常的には砂埃だった??  国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館

Icu01  この博物館ならではの見るべきものは民芸展示ですが、考古展示も見逃せません。国際基督教大学(ICU)の敷地は東京西部の野川流域に位置しており、旧石器時代から縄文時代の後期までの数万年にわたる人々の生活のあとを伝える多くの遺跡が埋蔵されています。

  
 そして、その生活の時代と並行して、関東地方を囲む火山の噴火でふき上げられた火山灰が風で運ばれ大量にふり積もって赤土の層を形成したのが関東ローム層です。一階から二階に向かう階段の壁面に関東ローム層断面標本があります

  

 東京各所の歴史・郷土博物館では、同様の地層の断面のはぎとり標本は珍しくなく、古代の食糧の跡である貝塚の地層なども一般的ですが、この博物館の標本で驚いたのは関東ローム層の厚さです。数メートルはあります。
  
 一気に積もったわけではないのでしょうが、このボリュームの天変地異が起きていたこと、そして現代もその延長にあることを実感させてくれます。
  
Icu02  博物館の中にあるものの時間レンジは、数十億年から数十年までいろいろ混在していて身の丈で理解するのが難しいものです。この数メートルの赤土も、数万年かけて積もったもののようなので、日々の実感の中では砂埃程度だったのかもしれません。まさに、塵もつもれば山になるのですね。いろいろ計算しながら見て回れば想像力も刺激されるでしょう。

(2011/3/4 訪問、2011/6/12 執筆)

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