考古学オタクの学生が集めた資料から発展した博物館 國學院大學 伝統文化リサーチセンター資料館(東京・渋谷)

Kokugakuin01  どうしても歴史学がやりたくてて東京大学医学部を中退し國學院大學文学部史学科を卒業した樋口清之博士が学部生時代に大学に寄贈した奈良県内採集の考古資料約4,000点からスタートし発展した資料館だそうです。そのエピソードも含め、考古学の基礎を築かれたその他の先生方の活動と成果が展示されているコーナーでは、考古学の魔力に捉えられた研究者の熱気が感じられます。シャベルと想像力を使って地面の中からかつての人間活動を引き出す楽しさに魅せられたのでしょうね。  

 
 
 県立レベルの歴史系ないしは総合博物館でも石器や土器が一通り並べてあるものですが、ここでは上記の熱気に少し打たれてしまったらしく資料が生々しく感じられるような気がしました。

 見学時には、企画展「縄文人の世界観とカタチ」で、秋田県の遺跡の発掘調査の成果を公開していました。発掘された資料だけでなく、どうやって発掘したか想像するのも楽しいものです。力任せのローラー作戦で発掘していたらなかなか成果は出せないように思います。
 彫刻を「素材の中に埋まっているものを鑿と槌で掘り出すだけだ」と表現した彫刻家の話のように、考古学者もそれまでの知識と経験が生み出す仮説に基づいて古代の人間の生活を掘り出しているのかもしれません。

 

 なお、「センター」とか「資料館」という名称の施設は、「博物館」に比べるとより研究施設的なもので展示品も限定的な印象を個人的には持っていますが、ここは本格的な展示があり、数時間かけてじっくり鑑賞・学習する意欲を引き出すだけのボリュームがあります。

見学した二日後が大震災で、その影響でしばらく休館していましたが、4月23日に再開したようです。施設・展示品は大丈夫だったか心配です。もう一度行きたいと思っています。

(2011/3/9 見学、2011/6/13 執筆)

博物館心 ミュージアムマインドへ