作品の間に勝負の緊張を感じてしまうのは考えすぎでしょうか  九州産業大学美術館(福岡市)

Ksu02  キャンパスへの来訪者の動線上、表玄関に入って応接間に入るくらいの言い訳のきかない位置に、美術館が胸を張って立っています。これまで訪問した「大学博物館」の中には、キャンパス内の微妙な位置がその博物館の学内での立場を匂わせる場合もあったのと比べると爽快な感じです。

  
 展示も真正面から勝負をかけているようで、今回は、若手作家作品展として、プロとして活動している卒業生に加えて現役の専任教員の作品もフラットに展示されていました。師弟が、同じ土俵に立っているということですよね。ここを訪れる受験生や父兄、市民に対しても、パンフレットの文章ではなく、作品そのもので勝負にいってるのが潔い感じです。
   

 
 初めてうかがったのは1年ほど前で、福岡にくる機会に学会でお知り合いになった先生を訪ねてきました。バックヤードの制作の現場を見せていただいたり、地域と連携して、幼稚園児Ksu01 からシニアまで幅広いプログラムを提供している例のお話も聞いてこれました。「大学が運営する美術館」ならではの活動の外延だと感じました。評価が固まった冒険のない古い作品を大切に展示する大美術館もあれば、現在進行中の生きた活動の一断面のような美術館もあるのですね。

  

 大学の博物館はなかなか認知度が高くないように思いますが、キャンパスという異次元空間を背景にした挑戦的な企画が多いのでそれだけを渡り歩くのも楽しいかもしれません。さらに、ここは月曜休館で展覧会によっては少額の入館料も必要ですが、他の大学博物館には一般博物館の定休日が多い月曜開館だったり、入場料無料だったりする場合もあります。

(2011/6/5 訪問、2011/6/11 執筆)

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