歴史に消えたweとje、縮退から復活したヱビス ヱビスビール記念館(東京・渋谷区)

Yebisu01 奈良時代には、3つのエがあったという。
ア行のエ [e] 、ヤ行のエ [je] とワ行のヱは [we] であり、ご存じのとおり今ではア行のエしか残っていない。
文字と発音は消えてしまったヱなのに、ヱビスビール(YEBISU-BEER)にだけ残っている。キーボードで”ヱ”はどうタイプすればいいか教わったことがない。
(ローマ字変換でweと打つ。なぜ、YEBISUなのかはわからない。WEBISUだと不自然に感じるくらい浸透してしまっているが。)

Yebisu02 「冷製札幌ビール」を作った政府の開拓使麦酒醸造所 (1876年)が発展した札幌麦酒株式会社、「惠比壽麦酒」(1890年の発売)の日本麦酒醸造、「アサヒビール」の大阪麦酒」(1889年創業)が1906年(明治39年)に合併してできたのが大日本麦酒株式会社。企業は拡大を目指すのである。1つの会社に3つのブランドである。
第2次世界大戦の影響で、1943年(昭和18年)にビールが配給制になり、すべてのビールの名称が「麦酒」に統一されブランドは消滅した。戦争は個性を嫌うのだろう。

ヱビスビールは、1971年(昭和46年)に復活した。30年近い臥薪嘗胆を経て復活するだけの個性をもち支持を得ていたということだろう
Yebisu05 会社の博物館はたくさんあるがブランドの博物館はめったにない。不屈の歴史を勉強した後は、味覚にも記憶させる必要がある。初期のビアホールで好評だったという塩ゆでえんどう豆を意識した乾燥「塩えんどう豆」をつまみに。

(2011/8/28 見学と試飲、2011/9/14 執筆)

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