最初に生まれたものが最後まで生き残る? 国立科学博物館(東京・上野公園)

Kahaku03 ただの縞模様にしか見えないこの岩がシアノバクテリア(藍色細菌)の死骸が泥粒を巻き込んで毎日地道に堆積してできたストロマトライトです。30億年ほど前に発生し、いまだにオーストラリアやメキシコの特殊な環境で生きています。他の生物には過酷な高濃度の塩分環境なので生き残っているということですから、最初に生まれたものが最後まで生き残るのかもしれません。そのあと20億年以上コツコツ酸素を吐き続けてくれたおかげで今の地球環境のベースができたということです。

 

 

 

  Kahaku02 その間、数十億年、動くものがいない先カンブリア時代では、海底の泥の上に波や海流で生じる文様を乱す者がなくパリンプセスト・リップル(重ね書きの漣痕)としてそのまま石に残っていますが、5億年前になるとようやくその上をうごめく何者かがあらわれます。カンブリア時代の生物はまだふにゃふにゃしていて化石として直接残ることが難しいわけです。わずかに、印象化石としてその痕跡が残る場合があります。カンブリア紀までの”生きた証”から生前の姿を解明するには想像力が必要です。

 

 

 

 

 

Kahaku01 地味な化石が多い古生代の展示の中で、咲き誇る花のように目立つのがウミユリ類。これも現役だそうですが、花ではなくヒトデやウニのような棘皮動物です。進化の初期になぜこんな複雑な形態が生じたのかと思いますが、表現形態は複雑でもそれを生み出すプロセスはシンプルなのかもしれません。細胞増殖で必然的に生じるパターンが進化のフィルターを通していくつかの外部形態に帰着するのでしょう。

 

 

 

 

40億年の生物進化の本を読んでいるうちに、じっくりとストロマトライトが観察したくなって、打ち合わせのついでに科博の地球館地下2階  に行ってきました。特別展で開催されている「恐竜展2011」に殺到している家族連れで科博全体が騒然とする中、地下2階では何時間でも化石を眺めていられますよ。

 

 

 

 

 
(2011/8/19 見学、2011/8/28 執筆)
 
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