火球の内側の世界に感情移入するための想像力 広島平和記念資料館(広島市)その1

ドーム上空600mで爆発した原爆は火球と化し1秒後には直径280mに急膨張します。球状の界面がの内と外とで、まさに世界は変わってしまいます。火球は熱線の放射を伴い、そのあとの時間スケールの中で、爆風の球面、放射能の球面が何重にも続くことになります。

Peace01 

球面が通り過ぎた後、半径数百メートルは、まさに全てが消滅してしまいました。

幸い私たちはまだ火球の外側で生活していますが、実際に内側に巻き込まれる可能性はあるわけです。東日本大震災での原発事故では、火球発生には至らなかったものの、実際に放射能の球面が私たちの身の回りを通り過ぎていきました。

リアルタイムに起きていることでさえリアリティを感じづらい場合もあるのですから、過去の歴史に感情移入して理解するのはそう簡単ではありません。他の惑星で起きたことや10億年前に起きたことにはシンパシーは感じられません。

見学者の歩みが他の博物館に比べて異様に遅いのは、ひとつひとつの展示資料が放つメッセージを受け止めずにはいられないからでしょう。ここで数時間の時を過ごすことでそれぞれの思考と感情の有効半径を広げてくれるのではないかと思います。

<前>

Peace02a Peace03a

<後>

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(2011/8/3 見学、2011/8/6 執筆)
 
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