この資料館では、多くの個人の遺品の展示がその最期の時を伝えています。吉永小百合さんのナレーションによる音声ガイドと合わせて、この事実がいかに普通の日常に突然起きたことなのかも教えてくれます。かろうじて発見されここに残された個人の営みの生きた証の投影が、当時の日常を伝えてくれます。
光の投影。人影の石。爆心地から260m。住友銀行広島支店の入り口の階段に腰かけていた方の影。
熱の投影。食べることができなかった弁当箱。爆心地から600m。学徒動員で建物疎開作業をしていた中学生の遺体が抱きかかえていた。
物質の投影。ガラス片が突き刺さった和タンス。
水の投影。白壁に残る黒い雨の跡。
時の投影。8時15分を指して止まった腕時計。
『復旧』と名付けられたパネルには、路面電車の軌道の復旧工事の写真が加えられています。被爆直後から、救護活動だけでなく、交通・通信・電力等のインフラ復旧の作業が始まり、被爆翌日には徐々に電力供給が再開され、路面電車も3日後には一部区間で運転が始まったとあります。広島の人々はへこたれなかったのですね。
そして、平和記念資料館も、過去を記録に残すのみならず、未来の世界のためのメッセージを発信し続けるための施設として運営されています。”今”の人類がよりどころの一つとすべく訪れることができます。
地球平和監視時計。
(2011/8/3 見学、2011/8/7 執筆)
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