ガラスの壁面も床面もほとんど全て曲線、という館内で、キャンパスだけは長方形なのになぜ違和感がないのだろうと思ってベンチに座ってしばらく眺めてみる。これが円形だったり菱形だったりしたらどうだろうかと想像してみると、どうもしっくり来る気がしない。
館内でも一番目立つ代表的な千住作品の一群「ウォーターフォール」は、滝の垂直線と水面の水平線から構成されていることに気付く。人工的な造形に思える直線も、自然界では垂直と水平である限りは安定状態にあるということだ。
一方、夜の世界をさまようシカの絵を自分もさまよいながら何枚か追っていくと、そこにはどうやらストーリーがあるのだとわかってきた。順路なしでもストーリーは語れるようである。ベンチに置いてあった絵本で作者のストーリーも確認できるが、絵だけ見て膨らませた想像も面白い。
「星のふる夜に」