東京、昭和10年から30年という時代 昭和館(東京・九段下)

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AIMG00750この切れ味はなんだろうと少し考えてみて、視点がしっかり絞り込まれていることにあるのだろうというのが私なりの結論です。

”昭和10年から30年までの20年間の東京”

を、時代のフェーズや見る視点で約10個のシーンで綴っていきます。

 

最初のコーナー「家族の別れ」からそうそう簡単に足が動かなくなりました。
http://www.showakan.go.jp/floor/6f7f/01.html

出征する2人の息子の出発の前日、大切にしていたタンスを壊して風呂を沸かしたという体験談に目が留まります。ひとつひとつの説明文に力があります。

 

そして、人口7,000万人の時代に、200万人以上が戦火で亡くなり、100万人以上の子供が疎開をしました。全ての国民が総動員されました。防空壕の体験コーナーに入って、爆弾が落ちてくる音に続くしばらくの空白のあとの爆発の振動でさえ、十分に恐怖を伝えてくれました。

 

それからまだ半世紀しかたっていません。

 

戦前・戦後の7階から戦後の6階に下りてくる階段踊り場では、昭和20年8月15日の玉音放送を初めてまるまる聞きました。流れの中でその時代に身をおいたつもりになって聞く体験は、長いのか短いのかわからない不思議な5分間でした。

 

復興のために頑張っってくれた世代のおかげで、私は成長感に浸って育つことができたのだと思います。

 

無料で借りられる音声ガイドを聞きながら、ひとつひとつのコーナーを追体験し最後に今も続く遺骨収容や慰霊巡拝のコーナーに着くと思いのほかの2時間がたっていました。集中すると体感時間がずれるようです。

 

私の父と母が過ごした時代、私はその名残の中で育ちました。自分の子供時代の風景に直接つながる時代に、これだけ真剣に生きる以外にない時代がありました。