見慣れぬ造形-神像はエキゾチックです  『国宝 大神社展』その1


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山も神、海も神、石も神、・・・と自然物に神を見出した古代から、崇拝の対象を鏡・玉・剣という人工物に抽象化させた段階を経て、仏像の影響からさらに擬人化した人工物・神像が出現します。会場の順路は、おおむねこの過程に沿っているので、終盤の展示は神像が中心となります。神像の造形は相当に自由です。背景になる理屈がないのかもしれません。クリエーターや発注者の心象から生み出されたのでしょうか。

神社が約8万社、寺院も約8万なのに、会場で見る神像はかえってエキゾチックな印象をいけました。衣の襞の表現が控えめで、すこしのっぺりした感触です。想像上の異形をとらず、基本的には貴族の男女の姿をしているものが多いようです。タイトルに”***神像となければ見分けがつきません。


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寺に行ったら仏像を拝観するのはあたりまえですが、たしかに神社を訪れて神像にお参りするという体験のパターンに実感がありません。「ご神体」とされて一般に公開されることはあまりないのだそうです。少年時代の福沢諭吉がお社の「ご神体」を確かめたらただの石だった、という逸話を思い出しました。

神像のオールスターを拝める稀有な機会です。日本の文化を数千年にわたって貫く太い動脈の一つ。いつもは皮膚の下に隠れていますが、この特別展で自分の体内を覗いてみましょう。

※写真撮影は、館の許可を得て行っています。