突起にはアノマリーなパワーが凝縮している(内藤記念くすり博物館・岐阜県各務原市)

http://www.eisai.co.jp/museum/information/facility/display.html

エントランスには薬屋の看板が並ぶエントランスを通って展示スペースに向かいます。

131108dsc03757

 

6本の角と9つの眼を持つ中国の想像上の神獣・白沢に迎えていただきます。 病魔を防ぐ力があると信じられていました。近世以前の”くすり”の一つでしょう。 コレラ流行の時などには絵が売りに出され、人々はこれを身につけたそうです。

131108dsc03761
白沢像/江戸後期

 

6本もついている”角(つの)”というアノマリーな突起は、なにかしら大きな力の凝縮の象徴なのでしょう。あれだけの形を作り出すからには、得意な成分というのも含まれていることは想像できます。漢方薬でも動物由来の原材料には、角が目立ちます。

 

131108dsc03769
 

製薬会社エーザイの”公園のような工場”川島工園の一角に、創業者 内藤豊次氏が設立したミュージアムです。

ぽつんと独立した立地であり車でないとアクセスできないので目的が明確でないと来る機会がありません。しかし、「メーカーの施設の博物館」には、細かなこだわりを感じることが多く期待してうかがいましたが、裏切られませんでした。

例えば、丸薬の製造機。保存された機器が展示されているだけならあたりまえですが、マネキンが加えられたことでどう使うのかも一目でイメージできます。

131108dsc03768
実用的化学製品としての側面だけでなく、人の認識と文化の推移、信頼と流通のための宣伝や経済の仕組みなども含んだ立体的な展開がされていました。

「保険」や「薬」は、”未来”を買う商品。説明の仕方が難しい分、信頼を勝ち取るための仕組みもセットになってきたことが歴史に表れています。

実物の展示に添えられたキャプションも読みやすく情報量もあります。

今回は全国博物館会議の企画としてバスで連れて行っていただきました。45分程度という極めて限られた時間しかなかったので五感を集中してまわってきました。併設された薬草園見学等も含めて半日は欲しかった、というのが本音です。

日本にはひとつしかない(館長談)というくすりの博物館との一期一会でした。