繰り返すからストーリーになるというのが仮説です 『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』(未来館)

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お台場の日本科学未来館で。

『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』

2014/11/29-2015/3/1

http://odoru.team-lab.net/

(展覧会サイトに行けば、動画で会場の雰囲気が分かります。)

待ちくたびれたこどもたちの声で冒頭のレクチャーは押され気味。終了をまって足早に会場へ。

 

会場に入れば遊園地で遊びに集中するこどもたち。つまらないことでも我慢してしまう大人たちが「走らないで」「触らないで」という必要が少ない空間。遊びのポイントに引き寄せられていきます。こどもに混じってクレヨンで描いた私のイカも、すぐに壁面を泳ぎだしました。


皆さんにもぜひ体験してほしいなと思ったので、頭から順番に紹介していきます。

 

未来館としては譲れないであろうシンボル「Geo-Cosmos」の特別上映から内覧会開始です。

おとなの空気読みで指示通りソファに寝転んで地球を眺めていると、正方形のディスプレイを張り巡らした球体では必然的に何か所か配置の乱れが目立つ箇所に目が行きます。対称性の妄想に耽っているうちに上映も終了し、半身を起こすと駆け寄ってきた1人の幼児と目が合ってお互いに微笑んでしまいました。追いかけてきたお父さん、なんと数日前に知り合いになったばかりの方でした。

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会場に入ると、お花畑。次々、湧き出してきます。映像は録画されたものではなくリアルタイムに計算されていると説明があります。しばらくぼーっと観察してみましたが、たしかに繰り返しには気づきません。季節の移り変わりがあるようなのですが、四季を感じるには少し観察時間が短かったかもしれません。

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こちらはおおむね毎回同じもの反復のようですが、画面のいたるところででうごめく動物に視点を揺さぶられて正確にはわかりません。繰り返し感は感じないのは、たくさん焦点が分散していて視点に繰り返しがないからかもしれません。尺は同じでも中身は一期一会という可能性もあります。

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一方、大きく速い動きと音楽で一つのストーリーになっている作品は3サイクルほど鑑賞してみると、こちらは全体としての動きが中央へと絞られていくことで視点を誘導される感覚があり、繰り返しを感じます。目立つ表現に揺らぎがないのでおそらく完全な繰り返しなのでしょう。毎回違ったらますます面白くなりそうですが、立ち止まる時間が長くなると別の問題もでてくるかもしれません。動画の場合、サイクルという単位は創造の糧になりうる制約なのかもしれないと予感します。見飽きるものと、見とれるもの、人知の設計も繰り返しているわけではないでしょう。

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最後の遊園地部屋は、観客と作品がインタラクティブにやりとりできる空間。塗り絵した絵をスキャンしてもらうと大スクリーンにワープして動きだします。

右奥のスクリーンで”私のイカ”も泳いでいます。水族館なら1日見ていても飽きませんが、はたしてこのスクリーンを1日眺めていたらどんな感じがするでしょうか。

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光と音の展示、「実物がない」ともいえますが、実物を見ているといっても実は反射光。遊園地には、触れる展示もありました。ミュージアムの未来のひとつでもあるかもしれません。

集合時間にはまだ残っていた陽射しが、未来館の通用口を出たときには真っ暗に。

明の屋外から暗の屋内、暗の屋内から暗の屋外、そんなコントラストもこどもの心に残るタイムマシン体験になるのではないかと思います。

2時間ほどのこの体験も、始まりと終わりのあるストーリー。繰り返しに気づくようなものがストーリーと呼ばれるのではないかというのが本日の仮説です。

まだ3か月も続くので、次は驚かせたい誰かと一緒に繰り返しの中に揺らぎの入ったストーリーに迷い込みましょう。初体験から浮かび上がるデジャビュ、これまでの営みの再発見です。

※写真は特別の許可を得て撮影しています。