不揃いの「会社設立ノ目的」と256枚のレポート ソニー歴史資料館 その2

※ この館は、2018年12月28日の最終開館日をもって閉館します。その前にぜひお運びください。予約が必要です。

1946年(昭和21)5月、井深大と盛田昭夫により、資本金19万円従業員数約20名の東京通信工業が設立されました。

設立主意書にある会社設立の目的を読むと、「日本再建、文化向上・・・」と壮大なものから「・・優秀ラジオセットの製作普及・・・」と具体的なものまで、不揃いの粒が8項並びます。理想と意欲がはちきれんばかりで、脳裏に浮かび上がる遠近の未来の情景の転写とも受け取れます。

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8年後の1954年。トランジスタ開発のプロジェクトリーダーとなった35歳の岩間和夫は工場視察で渡米します。資料は見せてもらえず、目からできる限りの吸収を続けます。

4年間4回の視察で書き上げたレポートは256枚。東京本社にエアメールを出し続けます。真空管からトランジスタへの技術の谷間を超える細い橋となります。

岩間は森田の義弟であり創業メンバーのひとりです。のちの第4代社長です。

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そして、視察の最終年の1958年(昭和33)、東京通信工業はソニーに改称されます。

メーカーのミュージアムは「製品で語る」ものでしょう。展示のほとんどはモノです。数少ない文書資料のレプリカがこの2点でした。モノが際立つ背景です。

失敗の歴史を誇る ソニー歴史資料館 その1


2002年に江戸東京博物館で開催された「本田宗一郎と井深大展 -夢と創造-」での感想は、”これは常設展示にしてほしい”でした。その時点ではソニーのミュージアムはなく残念に思っていましたが、2007年4月に開館以していたことを、閉館直前に知りました。間にあって何よりです。

来年以降は、新たな形で本社ビル(東京都港区港南1-7-1)で展示がされると案内されています。この2点の展示はどうなるのか注目しています。


ソニー歴史資料館

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