幾筋も埋め込まれた文脈 花王ミュージアム

3つあるゾーンのうちの最初の「清浄文化史ゾーン」だけで既に1時間半。慶應義塾で知り合いになり今は電機メーカーで研究員をしている知人と2人でうかがい、説明スタッフの方と展示品の一つ一つで質疑を繰り返しているうちにあっという間に時間が過ぎました。それでも時間が足りません。

残念ながら館内は撮影禁止。その分集中してメモを細かく取る間が必要で多少時間もかかりますが、脳内密度の高まりは意識できます。

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今回は、館のスタッフの方お二人と知り合いになって、特別にお時間を取っていただきました。「清浄文化史ゾーン」の見学の後に、お二人と他の縁で知り合いになった花王の方も情報交換の場に同席していただき、見学しての感想や意見をお伝えしてきました。

花王ミュージアム 展示紹介

  • 「清浄文化史ゾーン」は、文化を立体的にとらえていて初めて知る観点も多数あり、それに触発されて自らの好奇心も膨らむものでした。あるモノが、時代によって違う用途・違う方法で使われていることに気づきました。
  • 23歳で独立・創業した長瀬富郎さんについては、その理念が現在の「花王ウェイ」にもつながっており、生い立ちから、企業後48歳で結核でなくなるまでの25年間の物語をもっと知りたくなりました。
    ※ 長瀬が遺した「天祐は常に道を正して待つべし」という一文は、花王ウェイの基本的価値観の3項「正道を歩む」に引き継がれているとのことです。
  • 他館の協力で展示されているものもたすうあり、それをきっかけに相互に来館者を誘導していく可能性を感じました。ミュージアムの名前が具体的にいくつか思い浮かびました。

同行した知人と共通の関心事もありました。

  • 有名になった製品の開発の裏には10年単位の試行錯誤や、想像が難しい歴史が隠れていました。失敗の歴史も含め、そういった事例も示されると、「研究」という観点で見学される方々の参考になるでしょう。

見切れなかったゾーンの見学にはもう一度くるしかないかと思って身支度をしていたら、説明スタッフの方にお声がけいただき残り2つのゾーンもしっかりと見せていただきました。「花王石鹸」に始まり、「ワンダフル」「フェザーシャンプー」「ザブ」「アタック」「クイックルワイパー」「ヘルシア」と時代の必然となった新ジャンルを切り拓いたヒット商品が並びます。「固形ー>粉->液体->泡」という提供する物質相の変化や、現在の主要テーマである「ECO」の取組みで進化している容器の変遷も教えてもらいます。

ようやく見学ルートの終点に着くとすでに定時をこえていました。館をでて研究所敷地をでるときには社員の退社ピークになっていました。

今回は、製品の研究や製造を軸に見学せざるを得ませんでしたが、「入浴頻度と経済の関係」「製品別のシェア/競合との関係「清浄と社会情勢との関係」「広告」「販売」「製品ブランド」「容器」といった文脈で回るとまた違った学びが得られそうです。

3時間以上となった見学ですが、もう一度来ないわけにはいかないようです。