子供の記憶に残るもの 「デンキファクトリー」科学技術館(東京・千代田区)

 世界とのIOが画面とキーボードに縮退してしまった大人にとっては、小学生の群れの五感が刺激され五体がおどる様が新鮮です。ここは、3メートルおきに”これはなんだ”と思わせるコテコテの科学館です。、30年以上前の私の記憶では、この館はモノが並べておいてあるだけの退屈な場所だったのですが、今では中身はまるきり変わっています。3階の「デンキファクトリー」のカジノのようなテーブルを囲んで座って、電気から磁気、磁気から電気が生まれる実験を見せてもらいましたが、わきから子供たちが頭をねじ込んできます。実演者の洗練された手際はギャンブラーのようです。館内の雰囲気はホームページトップのビデオでつかんでください。

 一度に全てを均等に見て回ろうと思う引率者の思惑はほぼ通用せず、子供は勝手にあっちにひっかかりこっちにひっかかりしています。その様子を見ていれば今の時点で何に関心があるのか、がわかるかもしれません。おそらく、子供の頃には相当な割合で科学館・科学博物館が好きなのです。ところが高校生を超えてはなかなかその関心が続きません。ただ、いわゆる”理科系”キャリアの大人の方に聞くと、子供のころそういう場所が大好きだったという人は確実に多いです。現実には、多くの子供にとって、アナログの電流計を間近に見て触るのは、これが最後になってしまうかもしれませんが、その針の物理的な動きは一度は目に焼き付けてあげるべきだと思います。みなさん、一度はお子さんを連れて行ってください。カガクおじさんからのお願いです。

 学会の研究会などがこの館の6階の会議室で開催されることが多いので年に何度か訪れていますが、展示を見学したのは久しぶりでした。この館では来館者調査も計画的に行われいろいろな観点で分析され発表されています。もろもろの体験コーナーを楽しんでいるのは圧倒的に小学生ですが、彼らが誰と来館したのか、何に興味を持っているのか、学校で理科が好きか・得意かも分析されています。さすがマーケティングも科学的ですね。

(2011/3/5 見学、2011/7/13 執筆)
 
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