仕事場のモノに刻まれたココロ ちひろ美術館・東京(練馬区)

http://www.chihiro.jp/tokyo/

再現されたアトリエに、大きな文机。角材・板材を使って微妙にかさ上げされ、なんともいえない高さに調整されています。かなり低い椅子には背もたれはなく、ちひろは立ったり座ったりして作品に取り組んだとあります。
天板の張り出しがないため、右側側面に数センチメートルの小さな角材がねじ止めされて大きな電気スタンドの基部がクランプで固定されています。

仕事に合わせて、作業環境を徹底的にカスタマイズされています。家の間取りも何段階かにわたって増築されるたびに、内壁も外壁も仕切り直しされています。それが木製の道具というものなのでしょう。

現代の技術で体裁はよくなっても、人間に合わせてカスタマイズできるという基盤は失われてしまいました。

北九州で見た『松本清張記念館』の書斎でも世田谷の『古賀政男記念館』 のレッスンルームでも、同じように、モノに込められたココロを感じました。