「常に揺れているけれども沈まない」 北九州市立 いのちのたび博物館

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http://www.kmnh.jp/

体長35mのセイスモサウルスは、やはり圧倒的な大きさです。 このサイズで首を伸ばして維持できるとしたら首の骨の構造はどうなっていたのだろうかと自然に疑問がわきます。

おのずと、首の骨周りの構造をじっくりと観察してしまいます。筋収縮し続けなくても安定状態にいられるようなストッパー構造があるのでは・・・・。

両側に天使の翼のように頸椎から左右に張り出した細い骨に秘密があるのではないか・・・。

あるいは哺乳類ではおおむね7つしかない首の骨の数が恐竜では多様だということか・・・。

仮説をいくつか持っておくと次の機会に材料が目に入ってきます。私自身の認知の進化も今後の楽しみにとっておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エンバイラマ館白亜紀ゾーンで、マメンチサウルスのロボットの長い首の動きを見ていても、あらためてこのサイズで骨と筋肉だけでこの姿勢が維持できたとは到底直観的に思えません。私も同じ動物です。でも、水中ならそんなに無理はないかもしれません。第3の仮説が湧いてきました。

キリンも普段は首を立てているからどうにかなるのでしょうが、水平に曲げるときはけっこうぎこちないものです。またくねくねと曲がったりはしませんし、天使の骨も見当たらなかったと思います。今度、東京の科学博物館でもう一度構造を確かめてみましょう。

さて、こういった大規模な”つかみ”から触発されるだけでなく、その足元の地味な化石の展示解説にもからも刺激を受けます。

小学生のころに教わった進化観だと、魚類->両生類->爬虫類->鳥類->哺乳類、と進化して移り変わってきたような錯覚を持ってしまいます。ここでもメインの流れは類の推移になっています。

しかし、恐竜全盛の中生代でも古くからの種族、たとえば腕足類や魚類も進化を続けています。そのあたりの展示もしっかり盛り込まれているところがこの館の素敵なところです。 そしてその中で大きくは変わらなかったもの、シーラカンスやゴキブリがいるということはどういうことなのだろうかとも考えさせてくれます。

1週間前にあるセッションで講師としてお聞きした著名な経営者のことば「常に揺れているけれども沈まない」を思い出します。進化もそういうことなのかもしれません。その時代の”王者”をきめるのは多分に現代の既成概念です。

それはそうと、部品として、あるいは死体の配置としてしか発掘されない化石から3次元構造を推定する物語は、いくつか拝見してきましたが、ここでは「トリケラトプスのがに股」に関する学説の推移が解説されていました。最新の学説ではこういう構造ではなかったといわれています。

確定した(かび臭い?)古典の展示をしているようでいて、科学は日々再解釈されるプロセスだということもそういう解説が教えてくれます。

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そしてメインの大部屋の脇にも、かっちりとした展示が並びます。細長い円錐状から蚊取り線香のように巻き始めて芸術的な”巻き”になったあとの”崩れ”という流れでアンモナイトの進化を見ていくとやはりしみじみとします。実物を見れば、ある目的に向かって直線的に発展していくような進化感を単純に主張しづらくなるでしょう。

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数年ぶりの「いのちのたび」でした。帰ってきたような安心感とあらたな発見の喜びでほどよく2時間ほど過ごしてきました。小学生という小型哺乳類が群れをなしてやってきました。そろそろ帰りましょう。それぞれに発見がありますように。

博多から鹿児島線快速で1時間です。福岡出張でもし時間が4時間あいたなら命の旅にぜひどうぞ。

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