百年スパンの評価 @新潟県立歴史博物館 その2

Sdsc01193  長岡駅からバスで40分ほど。何もないバス停に知人に車で迎えにきてもらい、山の中の道を進むと、まさに忽然と表れます。起伏がある地形の中に、大きいけれども平たくて丸みを帯びた建物なので、近くにいくまでは気がつきませんでした。

  

Sdsc01307行政主導でかなりの予算を使って作られた山の中の博物館、という話を聞いたら「典型的なハコモノ行政」と批評する人もでてきそうですが、この博物館は一度訪れて実際に観覧をしてから判断しないといけないなと感じました。私個人は、「新潟の歴史の博物館として素晴らしい展示がされており、郷土の誇りを感じさせてくれる博物館」だと思いました。

  


Sdsc01199 ハコも展示も妥協がありません。もちろん十分な予算があってのことなのですが、工夫を凝らした展示からも受付などのスタッフの応対からも、この博物館に関わる方々の気持ちを感じました。順路の最初は歴史博物館の定番ともいえる石器展示ですが、ここからなるほどと思わせます。横方向が時間軸で、石器の作り方が時代をおって変化する様が一目でわかります。時間別に独立に置かれているよりも、時代による差がわかります。またこの地には人の歴史の長い営みがあったことを感じます。

  

  

  

Sdsc01318この地域の幅広い文化の成熟をささえる要因のひとつは、展示説明の中にあった 「千町歩以上の地主の多くは新潟だった」という経済構造にあるのでしょう。大地主が多かったということです。一定レベルの冨の蓄積があって初めて文化を語る余裕があるのかもしれません。それら多数の資本の核と行政がセットになって長期にわたる大規模な土木工事が実現したのだと理解しました。一代では成し遂げられないことを何世代にもわたって続けることで大きな変化を起こせるという実感が代々受け継がれてきても不思議ではありません。

  

Sdsc01192_2 帰り道は、別ルートで博物館の駐車場基点のバスにのり、小一時間かけ広々とした田園を眺めながら長岡駅に戻りました。維新末期の北越戦争の展示等を思い浮かべ、ここ長岡は長い間この地域の中核都市だったということを思い出しつつ・・

  

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