レールは輸入するしかなかった時代がありました  九州鉄道記念館(北九州市門司)

名称未設定-1 並べて展示してある微妙に断面の形が違うレール群の一本一本の説明書きを見ると、ヨーロッパを始めとしていろいろな国の名前が書かれていました。一見、ただ重いばかりの単純明快な工業製品なのに、国のインフラを張り巡らせるためには、レールを輸入しなければならなかったのです。この地に生まれた八幡製鐵所には、その大きな制約を破るために自前で鉄を作りたいと考えた人たちの願いがこめられていたのでしょう。

その甲斐あってか、現代は何でも貿易による交換でまかなえるという幻想の繭に包まれて脳内鎖国してしまっているのかもしれません。

  

  

 
DSC07537a 「いろいろな切符」のコーナーには、色も形も様々なキップがちょっとずつ端を反らせて並べてあります。

長距離の旅は一生の分岐点だった時代には、それにふさわしい風格をもったモノがコトに付随していたのです。ICカードの記録も情報量は等価なのでしょうが、ありがたみは違いますよね。
 
  

 

  

  

  

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かつては九州の出入り口だった門司港駅は、ターミナル(終着駅)のレトロな体裁を保ったまま観光資源になっていました。

そのすぐ近くに、JR九州の九州鉄道記念館があります。埼玉県の大宮駅近くにあるJR東日本の鉄道博物館に比べるとけっして規模は大きくありませんが、この地に立っている必然性を感じさせるものでした。

   

 

(2011/6/3 訪問、2011/6/8 執筆)

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