鉄・鉄・鉄・骨・骨・骨・石・石・石・・・その先にカフェ 九州大学総合研究博物館(福岡市)

DSC03898a 波形スレートでそっけなく建てられた第一分館の倉庫には、明治時代のそれこそ骨太な工作機械と並んで骨格標本がオブジェとして展示されていました。企画展示「Breathing」です。現代美術館のようですが鉄と骨に浮いた油がもっと艶めかしい光沢をもっています。

ある角度からみると、工作機械と骨格はいずれも4本足でたっていて、けっこう形が似ています。人が人工物を設計するときについついそれまで見てきた生物の形が反映してしまう のかもしれません。ロボットもロボット自体の機能性の理想とは関係なくなぜか人型のものがありますよね。
 
そして、第一分館の1階には、石・石・石・・・。2階には、動物と人類の骨・骨・骨・・・。
世紀をまたいで世界から収集してきた資料が、ひたすら広がっています。圧倒的なコレクションだけで、説明を読む気が失せていきます。
 
九大所蔵の資料は750万点もあるそうで、国内の大学では最大のコレクションだそうです。ただし、誰がどう数えたのか定かではないともいうことです。少なくとも、人骨のコレクションは、生きて箱崎キャンパスを歩いている学生数より多いはずだということでした。
 
DSC03895 さて、第一分館の倉庫の隣、には、突然、幻のようにカフェがあります。工作機械のそこかしこに蝋燭やランタンが灯され、その空間を窓から自然の風が通りすぎていきます。この異次元立体感はなんでしょう。頭の違うところをひくひくいわせてくれる空間です。
 
このキャンパスは老朽化が進んで多くの建物の1階の窓には立ち入りを防ぐための板が打ちつけられており、廃墟感覚満載です。映画のクライマックスでなぜかヒーローが迷い込む工場跡地の雰囲気ですが、その中にこんな不思議な空間が隠されているのです

 

地元での認知度はまだまだのようですが。おすすめします。

(2011/6/5 訪問、2011/6/7 執筆)

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