水族館と科学館の共生関係と、ヤドカリとイソギンチャクの共生関係 サンピアザ水族館(北海道・札幌市)

San01 博物館見学千館、というとりあえずの目標達成のためには、系統立てた訪問計画が必要である。この館は、一般人が運営しているブログで博物館名称がどのくらい引用されているかの調査  で、北海道の上位に入っていた施設である。

行脚日が月曜の場合、博物館の定休日にかかる場合が多いので見学先が限られてしまう。生き物を扱う動物園・水族館では飼育を休むわけにはいかないから年中無休の施設が多い。結果として月曜日に行く先はその種の館に集中せざるをえない。

新千歳空港と札幌を結ぶエアポートライナーで千歳から新札幌へ。列車は通路まで満員で、荷物を抱えていては簡単には降りられない状態に追い込まれた。千歳サケのふるさと館  見学の後の水族館見学のはしごは、つらいなあと弱音の頭が出ていたところなのでこれはいくなという天の啓示かもしれないと一人で理屈をこしらえて通り過ぎる誘惑に身を任せようと思ったら、数人が人をかき分けて降車口に動き出したのでこれが真の啓示だなと思い直して後に続く。地図上はデパートの中の一角の小施設のようなので規模・質にはあまり期待はしていない。

San02 駅ビルをでると目的の水族館と別運営らしき科学館が面前に表れた。セットのチケットも販売されていたので2館はどういう関係なのかと思って後で調べてみると水族館は公社が、科学館は財団が運営しているという違いはあるもののいずれも札幌市の計画に基づくものである。単独の博物館に限定せずに、複数の館の相互作用で何が可能なのか、は研究テーマの一つなので俄然見学意欲が湧いてきた。

両館の見学をしながら、他の見学客の動向をそれとなく見ていると、客数は圧倒的に科学館のほうが多い。展示室とは別料金だがプラネタリウムという目玉施設も持っている。大半は家族連れで、地元のリピーターも多そうだ。一方、水族館にはそこから流れてくる一部の他は一見の観光客らしい。規模的にも一回で見て回れて大規模水族館では集客の目玉になっているシャチ・イルカショーのようなものもないのでリピートは見込めないのではないかと推測する。

San03 館内で飼育展示されていたヨコスジヤドカリはイソギンチャクを載せていた。イソギンチャクがついているとタコなどの天敵から身を守れるらしい。食べ物のやり取りが何かしらあるようなので相互が利益をえるタイプの共生なのだろう。

2館の共生では、はたしてそれぞれどういう利益を得ているのだろうか。近接立地による共同集客効果はどのくらいあるのだろうか。少なくともそれぞれのホームページではほとんど相互誘導のしかけはなされていなかった。

それでもついでにそれぞれ訪れる方が一定数いるのだとすれば、やはり目の前の実物の威力は大きいのだろう。見てもらおうと思うなら立地は最大かつ基本の武器である。

(2011/8/8 見学、2011/9/4 執筆)

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